2010年1月14日木曜日

私が描いているのは50%。 残りは見る人間が持っているものなんだ

【横田務透明水彩画教室】
土曜日の10:30~13:00
興味のあるかたはぜひ遊びにこられたし。

遠くから見るとまるで写真のようにも見える水彩画。
この絵は、我がエイコーンスタジオを利用いただいている水彩画の横田先生の作品。先生のご好意で教室の壁に毎週2枚展示してもらっているのだが、この絵は先週飾っていただいたうちの1枚。

芸術はからっきしの私が先生の絵を誉めてみせるなど大それたマネは当然しないのだが、この絵を見て、どうしたらこんな絵がかけるのか本当に不思議に思い先生に尋ねてみた。

私: 『んんん・・・、なんというか、遠くからみると写真のように見えるけど、近くで見たら筆の跡もあってぜんぜん写真ではない・・・・ で、なんでこの小さな水面でなんっていうか空全体を感じさせることができるんですかねぇ~? 』

先生: 『絵というのは、単に写真のように描いてあるからいい絵だとは言えない・・・・勘合貿易って聞いたことあるでしょ?』

私: 『なんかそんな言葉聞いたことありますねぇ~。で、何でしたっけ?』


芸術だけでなく歴史もからっきし、な私である。(ちなみにスポーツはまあまあ、地理は大得意である!)そこで先生は勘合貿易とはなにかをざくっと説明してくれた。

勘合貿易とは、昔々の中国と日本との貿易のことで、1枚の証明書を半分に割った勘合符というものを用いた貿易のこと・・・。お互い半分づつ持った証明書を合わせてピタッとあったら本物の貿易相手だとわかる・・・。 つまり、現在でいうと契約書とかに押す割り印みたいものが勘合符なんだ、 と。

なるほどなるほど。そんなことを昔習ったような気がしてきた。


先生: 『絵というのは、勘合符みたいなもので、私が描いているのは50%で、残りは見る人間が持っているものなんだ。』

うぅっ・・・深い! 深すぎるっ!
あまりのその言葉の深遠さにドキッとして一瞬言葉が出なかった。

絵というのは相手にメッセージを伝える表現手段の一つである。
そのメッセージを受け手がどう感じるかということであって、
こういう関係は日々のコミュニケーションやその他の表現活動も全く同じなのである。

このあとごそごそと話はしばらく続く。

そして最後に、先生の言った言葉がまた興味深い。
『でも、100%与えてくる絵っていうのを見るのも面白いんだなぁ~』

これも言い得ている気がする。
世の中は簡単ではない。